10月28日、G7(主要七カ国)貿易大臣会合の行事のひとつとして、仁徳天皇百舌鳥耳原中陵(堺市)の拝所において、各国大臣らの記念撮影等の催しが行われた。
当日行事の時間が近づくと、JR百舌鳥駅前から御陵正面拝所前を越えるあたりまで、車輌・歩行者ともに完全に通行が禁止され、せっかくの土曜日に御陵参拝、あるいは世界遺産観光に訪れた多くの人々がけんもほろろに追い返されていた。大仙公園内の堺市博物館も、御陵からはかなりの距離があるにもかかわらず臨時休館を余儀なくされていた。
立入り禁止になる直前に御陵拝所を調査したところ、催しのための投光機・大型ディスプレイ・お立ち台等が準備されていた。このうちディスプレイは、御陵上空にドローンを飛ばして撮影した状景をリアルタイム上映するためのものなのだという。
仁徳天皇陵などの皇室陵墓を管理する宮内庁書陵部は、ことあるごとに陵墓の「静安と尊厳」の保持を陵墓管理行政の大眼目であると繰り返しているが、10月28日の仁徳天皇陵拝所のこうした態様が、「静安と尊厳」が保持された状態であると彼らは断言できるのだろうか。問いかけを実施していく所存である。